信頼

3/8

64人が本棚に入れています
本棚に追加
/110ページ
「私はもう疲れたの!!嫌になったの!!生きることも!!」 私は自分の腕を掴む蓮の手を振り払った。 そしてまた、水平線へと走り出す。 ばしゃばしゃと音を立て、水が跳ねた。 服が濡れる。重くなる。 動きにくい。 寒い。 死にたい… 「何やってんだよッ!」 蓮は私を追いかけ、再び右腕を掴んだ。 「離してよッッ!!」 私は海の中で暴れる。 蓮は必死で私を止めようと、私の腕を掴む手に、力をこめた。 「…離さねぇ」 蓮が真剣な眼差しで私の目を見つめた。 「…お前がいつも強がってること、知ってんだよ。 …お前が死んで、泣いてくれる人がいないんだったら、俺が泣いてやる。 ついでに俺も死んでやる。 お前が生きることが辛いって言うんだったら、俺がそれ全部引き受けてやる。 俺が美嘉を守ってやる。千紗が死んだあの日、そう誓っただろ?」 そう言って、蓮は私を強く抱き締めた。
/110ページ

最初のコメントを投稿しよう!

64人が本棚に入れています
本棚に追加