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「私はもう疲れたの!!嫌になったの!!生きることも!!」
私は自分の腕を掴む蓮の手を振り払った。
そしてまた、水平線へと走り出す。
ばしゃばしゃと音を立て、水が跳ねた。
服が濡れる。重くなる。
動きにくい。
寒い。
死にたい…
「何やってんだよッ!」
蓮は私を追いかけ、再び右腕を掴んだ。
「離してよッッ!!」
私は海の中で暴れる。
蓮は必死で私を止めようと、私の腕を掴む手に、力をこめた。
「…離さねぇ」
蓮が真剣な眼差しで私の目を見つめた。
「…お前がいつも強がってること、知ってんだよ。
…お前が死んで、泣いてくれる人がいないんだったら、俺が泣いてやる。
ついでに俺も死んでやる。
お前が生きることが辛いって言うんだったら、俺がそれ全部引き受けてやる。
俺が美嘉を守ってやる。千紗が死んだあの日、そう誓っただろ?」
そう言って、蓮は私を強く抱き締めた。
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