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「れ、ん……」
私は抱き締められたまま、動けないでいた。
濡れた二人の制服は、冷たい筈なのに、
何故か暖かかった。
蓮の温もりがいとおしかった。
蓮の胸から、彼の想いがひしひしと伝わってきて、
欠片でも彼の想いを疑った自分を恥じた。
「美嘉が…好きなんだ」
蓮の真っ直ぐな想いに、
涙が流れた。
「怖いか?俺のこと…」
蓮は私の横顔を横目で見て言った。
私は、
蓮の背中に腕をまわした。
「美嘉……」
蓮は私を再び強く抱き締めた。
雪は更に激しくなり、横なぶりになる。
それでも二人は抱き締め合った。
その雪は…千紗は、私達を責めてるみたいだった。
でもね、千紗。
こんな素敵な人を…私を大切に想っていてくれる人を気付かせてくれて、ありがとう。
いけないことをしてるって、分かってる。
せめて、せめて今だけは…
私を、孤独から解放して。
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