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「可愛げのない奴」
蓮は言いながら私を見つめた。
「…何」
私は眉を寄せる。
蓮は顔を逸らした。
「…なんか着ろ」
蓮の言葉に、私は自分の制服を見た。
途端に、声にならない悲鳴が出た。
制服が、水に濡れて透けていたのだ。
下着が透けていた。
私は胸を庇い、隣に座る蓮をきっ、と睨んだ。
「変態め」
「お前が見せてんだろ」
「好きで見せたわけじゃない」
私はふん、とそっぽを向いた。
そんな私を見て、蓮はくす、と笑った。
「何」
私は眉をひそめて蓮を見つめた。
蓮はにっこりと微笑む。
「気持ちが顔に出るようになったよな。
素直じゃん。
美嘉が可愛い」
「うざい。黙れ」
「…ホンット可愛げのねぇ奴だな。そう言われた時、フツー『ありがとぉ~~』とか言うだろ」
「は?キモい。誰の真似?」
「…千紗」
それきり、二人の間には会話が訪れなかった。
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