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その時、
ピーンポーン…
家に、インターホンのチャイムを鳴り響いた。
チャイムで気の緩んだ蓮をすり抜け、私はドアへと向かった。
インターホンに繋がる受話器を取り、耳に当てる。
「どちら様でしょうか?」
『警察の者ですが、夜分に失礼致します。
行方不明になられた岡田 千紗さんの件で…』
私の額に汗が流れる。
画面に映るのは、二人の男。
一人は、私を受け答えした、気難しそうなおよそ50過ぎともいえる男。
もう一人は、50過ぎの男の隣に立つ、まだ若い新人らしき男。
『…今はお一人でしょうか?』
「今は…」
私は口籠った。
―…すると。
「美嘉。誰が来てんの?」
後ろから蓮が叫ぶ。
その声に、画面の中で50過ぎの男が、眉をピクリと動かして反応した。
私は心の中でため息を吐く。
「…今は男友達と二人です」
苦しい決断だった。
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