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二人は、礼儀を守って家に入り、会釈をしてソファーに腰かけた。
「紹介が遅れました。私は佐乃宮といいます。以後、お見知りおきを」
50過ぎの男が軽く会釈する。
「杉山です」
杉山という男も、続けて会釈した。
私達二人は、その向かい側のソファーに腰かけ、“嘘も混じえて”全てを話した。
「…なるほど。その時、岡田千紗さんと二人で教材を運んでいた、と。目を離した隙に、千紗さんがいなくなっていた、ということですね」
杉山は、私達の話を何一つ聞き漏らすことなくメモにとっていた。
「はい」
「はい」
私と蓮は二人同時に返事をした。
「ご協力、ありがとうございました。では、このあたりで」
そう言って、警察二人は席を立って帰っていった。
「あの相沢美嘉という子、可愛かったですね」
マンションのエレベーターの中で、杉山が言った。
エレベーターが急降下する。
「杉山、お前今までそんなこと考えていたのか?」
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