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「あんな可愛い子、なかなかいません」
杉山の目尻がだらしなく緩んだ。
杉山は呆れてため息も出なかった。
「…それより、あの二人のことだろう?」
佐乃宮が言い終わると同時にエレベーターが停止した。
どうやら、一階に着いたらしい。
佐乃宮は、エレベーターを出た。
「あの男は、日向 蓮です。行方不明になった岡田千紗の彼氏でした」
言いながら、杉山も続いた。
「あの二人は、シャワーを浴びたばかりのようだった。
親のいない女の家に、男女二人…。
……これから、何をするかは分かっている」
言い、佐乃宮は杉山を横目で見た。
「相沢美嘉は、事件に関わっている。断言しよう」
佐乃宮はきっぱりと言いきった。
そこへ、
「…あのぉ~…」
杉山が隣で控えめな声を出した。
「なんだ、杉山」
「相沢美嘉を犯人にするのは難しいと思います。
……相沢美嘉は、“相沢警視総監”の孫なんです」
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