64人が本棚に入れています
本棚に追加
/110ページ
「瓜二つ?親子ですから当たり前では?」
杉山が首を傾げる。
佐乃宮は今度こそ、大きなため息をついた。
「アイツは愛妻家で、いいやつだったんだ。
あくまで噂だが、
梨華さんと離婚してからアイツは、
梨華さんによく似た娘に梨華さんを重ねて、暴力を奮うようになったらしい。
いわゆる虐待だ」
佐乃宮は眉を下げた。
「悲しいですね…。
相沢美嘉は、どんな気持ちで今まで過ごしてきたのでしょう。
愛のない家庭に、学校から毎日、どんな気持ちで帰ったのでしょう。
どうしてこの世界は、いじめ、虐待、差別というものが無くならないのでしょうか…」
杉山が悲しげに目を伏せた。
それを見て、佐乃宮は肩を萎めた。
きっと、寒いせいではない。
「きっと、人間が生きている限り、無くならないだろう。
…杉山。お前も確か相沢美嘉のような家庭事情だったよな」
佐乃宮は斜め後ろを歩く杉山を振り返った。
最初のコメントを投稿しよう!