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杉山は、微笑んでいた。
その反応があまりにも予想外だった為、佐乃宮は思わず驚いてしまった。
「佐乃宮警部。僕はもう、大丈夫なんです。
聞いてくれますか?」
‡‡‡‡‡‡‡‡
生まれたばかりの僕は、捨て子でした。
そして、施設に預けられたのです。
学校へ通っても、『親無し』『捨て子』と馬鹿にされ、
いじめられました。
それから、僕はずっと、孤独でした。
むしろ、心を閉ざしていたのかもしれません。
そんな時、“伊集院さん”が現れたのです。
伊集院さんは、料理教室を開いている方で、
施設へはボランティアで来ました。
心を閉ざした僕を見て、両肩を掴んでくれました。
そして、こう言いました。
「僕が君の理解者になる」
と。
皆は、なにそれ、と馬鹿にするかもしれませんが、
中学1年生の僕には、心に響く言葉でした。
理解者というものは、もしかしたら友達よりも人生に必要かもしれません。
自分の考えを一緒に肯定してくれる。
気付かぬうちに、側にいてくれるような、
それが理解者というものです。
伊集院さんは、そんな方でした。
僕の理解者になってくれました。
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