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伊集院さんは、いつも僕にぼやいていました。
「好きな女性がいる」
僕が、
「告白すればいいのに」
と笑うと、いつも伊集院さんは切なそうに微笑みました。
「その人は、僕の料理教室に通っている人で、もう結婚してるんだ。幼い子供までいるんだよ。
宏樹にだけ、教えてあげよう。
その人の名前はね、相沢 梨華さんっていう人だ。
とても綺麗で素敵な女性なんだよ」
嬉しそうに語る伊集院さんを、未だに僕は覚えています。
伊集院さんは、僕が14歳の時、その相沢 梨華さんという女性と駆け落ちをしました。
今も二人は幸せに暮らしているのでしょう。
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「ちょっと待て。相沢梨華は、相沢美嘉の母親の名前だ」
佐乃宮は、杉山の肩を掴んだ。
「そうです。
私も今、佐乃宮警部の口から相沢梨華の名を聞いた時は、正直、驚きました」
「そうか…」
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