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そんな皮肉を胸に押し込んで、私は笑みを浮かべた。
「…次、日本史」
私がそう言うと、千紗は、慌てる様に足早に歩き出した。
私は後ろから、千紗の背中を見つめていた。
栗色のセミロングの私の髪と対照的に、黒のショートカットの千紗。
背が高く、モデルにもスカウトされるような美人の私と、背が低い、いたって普通の、子りすみたいな千紗。
「ほーんと」
―…なんでこんな子に負けちゃったんだろぉ…
私は千紗の背中を、射抜くような視線で見つめていた。
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