愛憎

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「“あの子”に敵うわけない…。 今まで散々『可愛い』『可愛い』言われてきた私よりも可愛い子よ!!」 結衣は比呂の胸にしがみついた。 まるで、離さないとでも言っているように。 「俺の中には、今あの人しかいない。 結衣…幸せになれよ」 そう言って結衣を引き剥がし、走り去ってしまった。 しばらくして、結衣はその場に膝をついた。 顔が涙でぐしゃぐしゃだ。 結衣がしばらく顔をあげることはなかった。 街の人々は、不思議そうに結衣の前を通り過ぎて行った。 後には、惨めな結衣が俯いていた。 ただ、結衣は心の中で復讐心を燃やしていた。 ―…“あの子”だけは許さない。 比呂を盗った。 比呂を盗った。 比呂を盗った。 …相沢 美嘉。 絶対に許さない。
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