愛憎

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「美嘉」 授業中だというのに、隣の席から蓮が話し掛けてきた。 真面目な私は勿論無視。 蓮には目もくれず、黒板を真っ直ぐに見つめた。 「無視してんのか?」 蓮はちっ、と舌打ちしたが、それでも懲りずに話し掛けてきた。 私があまりにも反応しない為、蓮は自分のシャープペンシルで、 私のノートの端に何かさらさらと書き始めた。 『ばーか』 …小学生か。 私は呆れてため息も出ず、隣にいる蓮を横目で見た。 自分のノートにシャープペンシルを走らせる。 『アンタ、全国模試1位でしょ? 授業真面目に受けてないような馬鹿は、私が追い抜くから』 そう書いて、隣に座る蓮の顔にノートを押し付けた。 「おまッ…! 俺を抜けると思うなよ!!」 蓮の顔に、余裕の笑みが浮かんだ。 ふーん、馬鹿じゃないの。 私は黒板の方を向いて、頬杖をついた。 ……そこには、先生が仁王立ちしていた。 私達の方を向いて。
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