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「かったりぃな…」
お叱りを受けに行った職員室から帰り、
蓮は大きく伸びをしながら教室に入った。
休み時間の為か、皆それぞれでお喋りをしていた。
蓮が仲の良い男友達の所へ寄ろうとした時…、
近くで話していた女子三人組の会話が耳に入った。
「相沢美嘉ってさ~…」
蓮は『相沢美嘉』という単語に思わず歩みを止め、女子三人組の会話に耳を傾けた。
「最近、表情が柔らかくなったと思わない?」
「あ~。分かるかも。
さっきなんか、日向くんと授業中に話してたの、見ちゃったし」
その言葉に、思わず頬が緩んだ。
…美嘉だって、氷の女王なわけじゃない。
ただ、仮面を付けなければいけない程、美嘉は悲しい目にあっただけだ…。
だが、
皆に分かってほしいのに、という気持ちと、自分で独占したいという気持ちの自分がいた。
そこへ、
「相沢美嘉ってキモいよね」
女子三人組の内のあとの一人が、目を細めて嫌味気に言った。
蓮はその言葉に、目を見開いた。
思わず三人組を振り返る。
誰が言ったかなど、直ぐに分かった。
…木ノ本 結衣。
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