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「ちょっと日向、反応したりして何?
もしかして、アンタ相沢美嘉のこと好きなのぉ?」
結衣は、馬鹿にするように笑った。
蓮の額に青筋が浮かぶ。
何だよコイツ。
何にも知らないくせに…。
蓮は高飛車な笑顔の結衣を睨んだ。
「馬鹿にすんじゃねぇッ!!」
怒りが火山のように爆発して、全力で叫んだ。
クラスの皆が一斉に蓮を見る。
「……蓮?」
その時、教室のドアから美嘉が顔を覗かせた。
蓮ははっとし、美嘉を見て動きを止めた。
「…先生が、『日向と相沢に話があるから職員室に来なさい』って」
そう言った美嘉の目は虚ろだ。
蓮は結衣を一瞥した後、美嘉の背中を押して教室を出た。
職員室に向かって、長い廊下を二人で並んで歩いた。
でも、美嘉が少しずつ歩幅をずらして俺と距離をとろうとしているのが分かった。
「…美嘉、遅ぇよ」
蓮は後ろにいる美嘉の手を握り、引っ張った。
だが、美嘉はその手を振り払った。
「触らないでよ」
美嘉はそう言って蓮を睨んだ。
やっと組み合った筈の、
歯車がずれる音がした。
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