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「失礼します」
私達二人は並んで…いや、私が先に職員室に入った。
ドアを通り、ドアの直ぐ傍に立つ。
見渡すと、職員室には数名の教師が疎らにいた。
その一部の教師が振り返る。
「相沢美嘉と日向蓮です」
広い職員室に、私の高い声が響く。
「呼んだのは、どなたですか?」
私がそう言うと、
「校長室へ来なさい」
低い声に驚き、振り返ると、
私達二人の背後に、図体のでかい中年の男性が立っていた。
…校長だった。
「…はい」
私達は同時に頷いて、蓮と共に、職員室の隣の校長室に入った。
……蓮とはまだ、気まずいままだ。
職員室へ向かう途中も、一度も会話しなかった。
というより、どちらも口を開けなかったのだ。
『触らないでよ』
蓮は美嘉のその言葉に傷つき、
対する美嘉は、蓮にそんな態度をとってしまったことを悔やんでいた。
だからといって、簡単に謝れるものでもない。
二人共、素直ではないのだから。
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