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―…悠太先輩と別れた時に、言われたこと。
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「どうして私じゃ駄目なの!?どうして、よりによってあんな子なの!?」
私は叫んだ。
校舎裏だったが、歩行者らが振り返る。
校舎の窓から顔出して面白がる者もいた。
私はそいつらを、憎しみを込めて睨み、悠太先輩に向き合った。
「…どうして…?」
私が訴えるように言うと、悠太先輩は目を逸らした。
「…いつも、美嘉は…」
一旦そこで言葉を止めると、悠太先輩は私を見つめた。
「…作り笑いばかり、しているよな」
私は目を見開く。
「…千紗は違う。嬉しい時は、嬉しいって、笑ってくれる。悲しい時は、悲しいって、素直に泣いてくれる」
私の頭に、彼女の笑顔がよぎった。
「美嘉は…いつもひとりで行っちまう。俺を頼ってくれないだろう?」
悠太先輩は、哀しげに目を伏せた。
「確かに、告白したのは俺の方だし、美嘉は俺のこと、あんまり好きじゃなかったのかもしれない。…でも…」
そして、頭を抱えた。
「どうして、一度も笑ってくれなかったんだ?」
その言葉が、胸に響いた。
「千紗にあって、美嘉にないもの。一度、考えてみるといい」
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