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「…どうして二人が此処へ?」
私は二人に向き直り、笑みを浮かべた。
一番気になっていることを尋ねてみたのだ。
「名前、覚えていてくれたんですね!」
杉山が、目を輝かせて私の手を握る。
眉をひそめる私をよそに、
佐乃宮は杉山の頭にげんこつを落とし、
私から杉山を引き剥がした。
「馬鹿かお前は。
…相沢さん、悪かったな。
岡田千紗が行方不明になったこの学校を、もっと細かく調べてみることにしたんだ。
生憎、この学校に知り合いがいなくてね。君達二人に案内して貰いたいんだ。
例えば…校舎裏とかねぇ」
佐乃宮は怪しげに微笑んだ。
―…良かった。
どうやら、逮捕などではなかったようだ。
……だが。
…疑われている。
完全に疑われている。
私の背中を、嫌な汗が流れた。
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