欲望

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「…こちらです」 私達二人は刑事二人を連れて、校舎裏へと訪れた。 ……千紗の殺された校舎裏に。 「何もないと思いますけど?」 私は少し後ろに立つ刑事二人を振り返り、 真顔で嫌味を込めて言った。 刑事二人は私の言葉を無視し、 顎に手を当てながら、辺りの捜索を始めた。 私は刑事二人に聞こえないように舌打ちをした。 ―…まずい。 あまり調べられると、私達が殺ったとバレるかもしれない。 私はいつの間にか、手汗をかいていた。 嫌な考えを消すように、その手を痛い位にぎゅっと握った。 なのに蓮は私達と少し離れた場所で、しゃがみこんで何かをしていた。 「れ…」 私は離れた場所にいる蓮に手を伸ばした。 『蓮。どうしたらいい?助けて』 蓮ならきっと助けてくれる。 でも。 …言えなかった。 私は伸ばした手を引っ込めた。 ―…やめよう。 もうこれ以上、蓮に迷惑かけたくない…。
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