欲望

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「アンタなんか…ッ! 顔以外はただの豚じゃない!」 百合は直ぐ様立ち上がり、私に飛びかかった。 私の襟を掴んで、顔の前で睨まれた。 それでも私は余裕の笑みを崩さない。 「顔以外…ね。 “顔はいい”ってことよね?誉め言葉として受け止めるわ」 「…ッアンタのそういうトコがムカつくって言ってんの!」 百合がばっ、と手を上げる。 そのまま降り下ろそうとした時…。 「やめなよッ!!」 トイレの入り口から叫び声がして、その場にいた全員がそちらを向く。 いじめッ子一人がふん、と笑う。 「岡田 千紗じゃん。何なのアンタ。もしかして、邪魔する気?」 「早く出てってよ」 周りの仲間の女子達が、クスクスと笑う。 私は正直、どうでもよかった。 めんどくさかった。 ただ、早くこの場が終わればいい、とだけ思った。 なのに…。 「美嘉ちゃんが可哀想だよ!離してあげて!」 千紗は心から心配した声で、今にも泣いてしまいそうな声で、言う。
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