孤独

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私の名前は、岡田 千紗。 背の低い、黒髪のボブ。 チャームポイントは頬の笑窪。 ……なんて私の紹介は置いといて。 そんなことより、今日から私は、高校生になるの。 楽しみな、楽しみな……、 高校生活が始まるの。 「わぁ……」 “私”は校門を通過し、思わず目を丸くしてしまった。 「校舎が綺麗…」 私が呟くと、呆然と見上げ立つ私の横に、お母さんが立つ。 「そうねぇ。 最近できたのよ、この校舎」 そう言って微笑みながら、私の胸元にコサージュをつけた。 「高校生は今までとは違うわよ。 中学生より自由になるの。殺人なんか犯したら、即逮捕だからね」 「そんなことしないよ~」 私は悪戯っぽく笑ってみせた。 するといきなり、微笑むお母さんの顔が、 困ったような悲しげな笑みになる。 私は眉をひそめた。 「…お母さん…」 「…千紗は“弘行さん”に似てる。笑い方とか……」
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