孤独

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満開に乱れ咲く桜。 腕いっぱいの桃色の欠片を、辺り一面に撒き散らす。 桜の花弁の縦断。 春の景色。 そこにいたのは女の子。 幹を向いて桜の下に、佇む彼女。 栗色のセミロングの髪。 こちらからは背中しか見えないけれど、 かなり綺麗なのではないか? 彼女は桜の花に手を伸ばす。 彼女は優しくその花を撫でた。 優しく、優しく…。 しばらくその様子を後ろから見つめていると、 不意に彼女が振り返った。 私は思わず目を見開いた。 偶然か私と目が合った。 いや、私が驚いたのはそんなことではない。 その子が、桜にも映える程、美しかったからだ。 秀麗とは、正に彼女の為にあるのでは?と思うほど、彼女は麗しかった。 私は息を固唾を呑んだ。 予想外に大きな瞳。 少し離れていても、瞳がくっきりしていることが分かる。
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