64人が本棚に入れています
本棚に追加
制服に付いた砂を落とし、私と蓮は学校の廊下を歩いていた。
隣を歩く蓮の顔を盗み見ると、目が少し赤く、腫れていた。
私も目がひりひりと痛んだ。
「ねぇ、蓮。私の目、赤い?」
隣の蓮を見上げる。
蓮は私の顔を覗き込んだ。
蓮の顔が近づく。
少し、緊張した。
心臓が波打つ。
こんなこと、初めてだ。
目を逸らせない私を見て、
「赤い」
蓮は悪戯っぽく笑った。
「…最低」
少しプライドに傷をつけられた私は、
蓮の頬にそっとキスをした。
蓮の顔がみるみる内に赤く染まる。
「馬鹿」
私は笑ってやった。
何気ない瞬間。
―それだけで、良かったのに。
そこへ、廊下の向こうから独りで歩み寄る人影。
「相沢美嘉、来なさい」
腕を組んで高飛車に私に命令したのは、
木ノ本 結衣だった。
最初のコメントを投稿しよう!