強姦

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「…私は蓮を信じてる」 私は結衣を真っ直ぐに見据えた。 だが、結衣は派手に声をあげ腹を抱えて笑い出した。 キャハハハハ… 気味悪い嘲り笑いが辺りに響く。 結衣は私を哀れみを込めた瞳で見た。 そして、私を覗き込み、馬鹿にしたような声で言う。 「蓮は千紗の恋人よぉ?」 私の肩が少し跳ねる。 事実だ。 実質、蓮と千紗はまだ別れていない。 私は結衣を睨んだ。 「…だから何?千紗は…」 怖い。 この、全てを見透かすような、 結衣の瞳が怖い。 「そうね、行方不明だったわね。 …じゃあ、千紗の父親のこと、知ってる?」 「…―――」 ‡‡‡‡‡‡‡‡‡ 一年の夏、千紗は私にこう言った。 『私のお父さんって、警視なんだよ』 『…私と同じね』 私はあまり気に止めなかった。 ‡‡‡‡‡‡‡‡‡ 結衣は不気味に微笑した。 「千紗の母親は、風俗。千紗は客の子供なの。 私達、母親同士が仲良いの。勿論私の母親も風俗。私も客の子供」 結衣は頬に掛かった髪を妖艶に耳にかけた。 私は眉をひそめる。 「千紗の父親は警視の筈よ」
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