出せなかった手紙

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出せなかった手紙

昭和十八年五月 小雪さんへ 我が軍は勝ち戦もありここのところは穏やかな日々が続いてます。 この南の島はこの世の楽園のようです。 椰子の葉からこぼれる太陽は痛いくらいに熱くお陰で内地にいた頃は色白かった私の肌もいまでは小麦色になりました。 この島のカタツミリはとても大きく日本のより二まわりも大きいので驚きました。 綺麗な海を見せたいという名目で貴女に会いたいという女々し私をお許し下さい。 日本が勝った時この島に二人で旅行に行きましょう。 陸軍少尉 〇〇より
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