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「え、そんな、せんぱいは苦しんでるじゃない
病気と闘ってるじゃない
そんな、そんな…わたしが弱い、だけなのに」
しどろもどろになりながら言葉を紡ぎ、「それにね、」と付け足す。
「わたし、せんぱいには支えられてるから…せんぱいのところにいる時だけは、いじめも虐待も、どうってことない、から」
嘘吐き
だったらなんで
そんなに壊れそうに笑うんだ
だったらなんで
「だったらなんで、死ぬなんて言うんだよ」
また抱きしめる腕に力を込めると、痛いよせんぱいと声を掛けられた。
少しだけ力を抜いて、彼女の顎を掴む。
そして、触れるだけのキスをした。
「…せんぱいは優しいから、せんぱいのキスじゃ死ねないね」
そう言って笑った顔くらいは
偽物じゃなければいいのに
[そして人魚は死んでしまいました]
(人魚が死んでしまうのを許せない王子様は、いつか人魚の呪縛を解き、生き返らせると誓いました)
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