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「どこへ案内してくれるのかと思えば……」
着いてきてと言われるがまま、やって来たのは病院内のカフェテリア。
大きな窓から青々と緑が茂る中庭が見える。
「先生がいつ来るかと思って、昼飯も食わないでうろうろしてたから腹減ってたんだよ。どうせ、今病室に行ったって、茜は居ないんだし、時間潰しだよ」
「いや……丁度よかったよ。俺も腹ぺこ」
苦笑を漏らしていると、注文したサンドイッチが運ばれてきた。
ひとくち口に運んで、またすぐ皿へ戻す。
秋月を思うと気が気じゃなくて、正直、サンドイッチの味もいまいち分からないし、喉を越さない。
「食わねーの、先生」
俺の顔を覗き込んで尋ねる山瀬にただ笑って返した。
「大丈夫だよ、茜は。強い奴だから」
「あぁ」
「ケロッとした顔で、いつもみたいに笑うよ」
「あぁ……」
俺はひたすら、祈るような思いで頷いていた。
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