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「で、なに?」
「え?」
静かに流れる沈黙を破って尋ねれば、秋月はきょとんとした顔で俺を見上げた。
「探してたんだろ、俺のこと。何か用があったんじゃないの」
そんな秋月を横目に映して少し呆れながら言うと、秋月は「あぁ」と軽く相槌を打ち、視線を空へ投げた。
「えっと……元気でしたか?」
「それなりに。お前は?」
「元気だけが取り柄なんで」
当たり障りのない、いかにも久々の再会といった会話を交わして、秋月は笑った。
「手紙、ちゃんと届いてる?」
「あー……多分、な」
届いてるよ、ちゃんと。
そんな言葉を隠して答えれば、秋月はふふっと微笑を漏らした。
「どーせ、読んでないんでしょ」
「読んでないねぇ」
いとも簡単に嘘は滑り落ちる。
素直に読んでいると言えばいいのに。
1日2回もポストを覗くほど待ちわびているなんて言ったら、秋月は一体どんな顔をするだろう。
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