告白

22/32
前へ
/158ページ
次へ
「自然に俺がお前の中から消えるまで……他の誰かを好きになるまで、持ってろよ」 勝手なことを偉そうに。 自分でもそう思うのだから、秋月だってきっと同じだろう。 だけど…… 『あいつ、だいぶ俺に傾いてるよ』 よみがえるのは、ずっと心に引っ掛かったままの山瀬嵐士の言葉。 きっと、そうなんだろう。 あいつの方が、俺よりずっと秋月の傍に居て、何かあればすぐ手を差し伸べてやれるんだから。 ごく自然なことだと思う。 だから、せめて今、この瞬間だけは。 校門をくぐり出ていくまでは。 俺を思っていて欲しい。 「……無茶苦茶だよ、先生」 俯いた秋月はポツリと憤りにも似た言葉を落とした。 そうだよな。 「はい、分かりました」なんていく筈がない。 冗談だと、笑い飛ばす準備をしようと深く息を吸うと、 「私、今日……一大決心してここに来たんだよ?」 秋月はうっすらと目尻に浮かぶ涙を堪えるように微笑み、問い掛けた。
/158ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4789人が本棚に入れています
本棚に追加