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一大決心。
それはつまり、決別を意味していて。
秋月がそれを望むというなら、やっぱり俺はさっきの本音を嘘にしなければならない。
「……ちょっとくらい、後悔した?振るなんて、惜しいことした、って」
そう思うのに、なかなか行動に移せずに躊躇っている俺に、秋月は尋ねた。
『先生が、やっぱり私を好きだったなぁと思っても会えなくて、今日私を振った事を後悔するように』
あの終業式の日。
手紙に差出人の住所を書かない理由に秋月はそんなことを言っていたっけ。
そして今、その思惑通り、まんまと後悔しているわけだ。
「バーカ。調子乗んな」
だからといって肯定するわけにもいかず、はぐらかせば、秋月は瞼を伏せて薄く笑った。
「調子、乗っちゃうよ。そんな風に言われたら……私の一大決心なんて、簡単に壊れちゃうんだから」
伏せていた瞼を上げ、上目遣いでまっすぐ射ぬかれれば、不覚にもドキンと胸を高鳴らせてしまった。
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