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「……なに、お前、死ぬの?」
長い沈黙のあとの開口一発目。
ましてや久しぶりの再会で、しかもこの状況で、到底相応しくない不謹慎過ぎる言葉。
にもかかわらず、秋月はふっと笑いをこぼした。
「そんな簡単に可愛い生徒を殺さないでくださいよ」
責めるように言って、やんわりと睨む秋月の口元は相変わらず笑っている。
「もう、俺の生徒じゃないし」
「……冷たいんだぁ」
突き放すような俺の物言いに、秋月は表情を曇らせ、寂しそうに笑った。
こんなことが言いたい訳じゃない。
そんな顔をさせたいんじゃない。
なんのためにここまで来たのか。
心の中でそう自分を責め立てる。
「……元気そうで、良かった」
やっと絞り出した本音。
本当に、秋月が倒れて病院へ運ばれたと聞いたときは、心臓が止まるかと思った。
状況も分からず不安は募るばかりで、最悪の事態まで頭を過って、生きた心地がしなかった。
顔を見てやっと、全身へ血が巡っていく、そんな感じ。
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