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何を期待しているんだか。
馬鹿な自分を自嘲して笑う。
『時々、手紙書くから』
朱色と山吹色が混ざり合い、絶妙な橙に染まった世界の中で、いつになく大人びた顔で微笑んでいたあいつの声が蘇る。
……時々って、どれくらいだ?
いつ届くのか、本当に届くのかさえ知れない手紙を、俺はこうして密かに待ち続けている。
だって、気になるじゃないか。
新しい環境で、上手くやっていけてるのか、とか。
苦手だった数学はちゃんと授業についていけてるのか、とか。
慣れない環境の中で、風邪は引いてないか、泣いたりしてないか……
勿論、いち教師として。
玄関先でしゃがみ込んでいた俺は、なんとなく自分自身にそんな言い訳をしてから、重い腰を上げた。
手にしていたコンビニ袋をテーブルに置き、台所へと向かう。
そこで、空になったコンビニ弁当やカップ麺の容器が積み重なって荒れたシンクを見て、どっと疲れが押し寄せてきた。
蛇口を捻り、もう何度目かの深い溜め息を水と一緒に流す。
勿論、そんなんじゃ全然気分は晴れないのだけれど。
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