プロローグ

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そこからは重労働だった。会社に連絡をいれ、一週間の休暇をもらう。丁度大きなプロジェクトが終わった後で後始末の業務がメインだったこと、3連休を挟むのが幸いした。それでも無理を聞いてもらっていることは十分知っていた。 専務は妻と仲がよかった。内向的な僕とは対照的に明るかった妻は、一時社宅に住んでいた時に社宅の全員と言っていいほどの人たちと交流を持っていた。専務の妻もその一人で、引っ越して10年以上立つ今でも家族ぐるみで交流がある。 「綿貫のところの奥さんが亡くなったんだ、休みをやらなきゃ俺が上にどやされる。・・・気をしっかりな、何かあったらすぐ電話してこい」 妻にも伝えておく、そっちが落ち着いたら伺わせてくれ。そういって専務は電話を切った。 横では美香が病院のお抱えの葬儀屋と話をしている。もともと祖父が亡くなった際もお世話になったところで、信頼はできる業者だった。
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