小さな世界の大きな事件

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「場所はアパローラル美術館。画家と思ったのは美術館の絵を模写していた。  黒髪で顔を隠していてよく見えない」 「絵、書けますか? 」 「下手だよ? 」  いいながら、手帳に絵を書いている先生。ペンが止まり、書き終えたらしい先生が紙をやぶる。 「わかりました。調べてみます。先生はどうしますか? 」 「どうしようか」 「先生は、北警察署へ行ってください。私はその美術館と、ストロリーさんに話を聞いてみますから」 「わかった」  そして午後の調査に向かった。 *  美術館は、レンガ作りで二階建てのこじんまり物で目的の人物がいるかこっそり入り口からのぞくが見えない。  しばらくなんとかしようと伸びをしていると、切符売り場の男性が迷惑そうに私を見ているのに気づいて慌てて 「女性一枚」  お金を出し、中に入った。  絵は、抽象的であまり興味のわくものではなく流しながら見る。  すると、奥にキャンパスを立てて絵を模写する男性を見つけた。  間違いなく、先生が書いてくれた絵に似た人物である。  見つけた! そう思いながら近づく。
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