小さな世界の大きな事件

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 P.r歴20.2/12  その日は、とても晴れた散歩にふさわしい良い天気だった。  カーテンを開けて伸びをする。  白いブラウスに手を通し、ネクタイをつけて髪をとかし朝食の支度をしたあと、ちらりと上司をみる。  ソファーで寝てるせいか、寝苦しそうに体を縮めているのが見えた。 「先生、起きてください。朝ですよ! 」 かけてあった毛布を奪い、耳もとでさけぶと先生は驚き慌てて起き上がりあたりを見渡す先生。 「なんだよ~ミナ。もう少しのかせてくれよ」  頭をぼりぼりかきながら言う先生に、私は腰に手を当ててにらみつけながら 「だめです。今日は依頼人が来る日なんですよ? きちんとしていないと」  と怒る私に先生は苦笑いを浮かべながら 「わかった、わかったよ。ミナ、ごめん。で、今日の朝食はなんだい? 」 言う先生に、少し怒りを残しつつもため息をつき、 「今日は、クスとアルマーです。温めてありますので早く顔を洗って着替えてきてください」 「はい、はい」  言ってソファーから先生は立ち上がった。 「先生、新聞を読みながら朝食食べるのは止めてください」  クスにバターを塗りつつ注意するが、先生は 「あ~うん」  などと生返事である。
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