小さな世界の大きな事件

9/32
前へ
/32ページ
次へ
 と言って男が歩きだしたので迷った末、それに続いた。  入ったのは、依頼人が勤めているレストラン、ブレイク。  席に案内されて、向かい合わせに座ると店員さんに向かい 「お姉さん、こっちにコーヒー一つとホットミルク一つ」 「子供じゃないから、コーヒーくらいのめます! 店員さん、ホットミルクじゃなくてコーヒーを」  注文をしたあと、意を決して睨みつけながら 「で、お話とはなんですか? あいにく私には話せる内容などないのですが」 「おいおい、怖いね~リラックス。リラックス」 「あいにく、初対面の不審者と和やかにしゃべる趣味など私にはないんです。要件をさっさと話していただけません」 「警戒心強いね~ま、そうじゃなきゃ探偵なんてつとまらないか」  ガタッと音をたてて立ち上がる私。  周りの視線が一斉にこちらを向いたが、一切気にしなかった。 「ど………どうして私が探偵だと? 」 「こういう仕事をしてると、かんが鋭くなるもんなんだ」 「こういう仕事? 」「ああ、申し遅れたね。俺はこーゆうもんです」  などと言い、一枚のカード私によこす。 「フリーライターのレイモンド・バードアさん………? 」
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加