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甘い毒[阿修]
時々お前は表情も変えずに残酷な事を言うんだ。
時には笑みを浮かべたままで。
「ねぇ阿近サン、お願いがあるんですよ」
あぁ、例えばこんな穏やかで何気ない日常の中ですら。
「いつかアナタが死ぬ日が来たなら、その1日前に俺の息を止めて下さい」
笑み、を。
絶やすことすらせずに。
「俺の、一生のお願いです」
あぁ、お前は気づきもしないんだろう。お前の無垢な残酷さ、甘い凶器に。
「ねぇ、阿近さん」
この手で、お前を殺めるという恐怖を、そして永遠にお前を独占出来るという甘美な毒を。
お前の死を、知ってしまうという、絶望を。
「お願いですよ」
時にお前は残酷で、
今の俺には笑って誤魔化すくらいしか出来なくて。
「お前の一生は何回あるんだ?」
俺は誤魔化し、お前が笑う。
そして俺も笑って、
背中に伝った汗を隠すんだ。
嗚(あぁ)、
今日も甘い毒が躯を蝕む
***
阿修
25コ目の染色体をイメージ
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