さよならの前[阿修]

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さよならの前[阿修]

今日はあなたからいつもと違う煙草の匂いがして、何となく違和感を感じた。 今日はあなたがいつもより何か優しくって、何となく嫌な予感がした。 「なぁ…修」 「…なんですか?」 お願いだから、言わないで。 情けないな、聞き返した声が震えた。 「……いや、何でもない」 「変な阿近さん」 目を逸らしたあなたから漂う罪悪感。 あぁ、予感は的中? 最悪だ。笑った俺の頬が引きつった。 あなたから別れを告げられるくらいなら、耳なんか聴こえなくていい。 あなたが他の誰かに笑いかけるのを見るくらいなら、目なんかいらない。 あなたが俺を愛してくれないのなら、 もう心なんか、いらない。 あなたが俺から離れていくのなら、 もうこんな命必要ないよ。 だからお願い言わないで。 別れを告げる、その言葉だけ。 *** 阿修 別れ話は聞きたくないよ。
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