3人が本棚に入れています
本棚に追加
さよならの前[阿修]
今日はあなたからいつもと違う煙草の匂いがして、何となく違和感を感じた。
今日はあなたがいつもより何か優しくって、何となく嫌な予感がした。
「なぁ…修」
「…なんですか?」
お願いだから、言わないで。
情けないな、聞き返した声が震えた。
「……いや、何でもない」
「変な阿近さん」
目を逸らしたあなたから漂う罪悪感。
あぁ、予感は的中?
最悪だ。笑った俺の頬が引きつった。
あなたから別れを告げられるくらいなら、耳なんか聴こえなくていい。
あなたが他の誰かに笑いかけるのを見るくらいなら、目なんかいらない。
あなたが俺を愛してくれないのなら、
もう心なんか、いらない。
あなたが俺から離れていくのなら、
もうこんな命必要ないよ。
だからお願い言わないで。
別れを告げる、その言葉だけ。
***
阿修
別れ話は聞きたくないよ。
最初のコメントを投稿しよう!