雷鳴

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『なぁ今日、彼女来ているよな』 と守がニヤニヤしながらいう。 『たぶんな。美希がくる日だからな』 『そうかッ』 俺の返答に剛が嬉しそうにいう。守も同様に嬉しそうである。 そんな2人の表情に俺は(こいつら…)と思いながら苦笑いした。 守と剛が道場に来たがる理由。それは俺の従姉妹の高木美希の親友で、道場に通う村山佳江がくるからだ。まぁ普通の高校生なら可愛い子がいれば、仲良くなりたいと思うのは当然のことだろう。 そう思いつつ2人とともに道場へと向かった。 俺の親父、角村吾朗は古武術道場を経営し、師範も務める人物である。 その古武術は組手の柔術、槍の槍術、剣の剣術の3種類で、実戦向きである。 道場は江戸時代の後半頃からあり、親父の代で5代目になる。 この平和な時代に古武術道場など流行るのかと思うのだが、意外にも親父には経営にかんしての柔軟なところがあるのか、上手くこなしている。女性のダイエットの為にとか、中年男性のメタボ対策にとか、健康の為とかなどを打ち出し練習生を増加させている。
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