雷鳴

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ジリジリと照りつける日差しが痛い。 『今日も暑くなるなぁ』 和馬は額に手をかざし、憎らしいほどの表情をして、照りつける太陽を見た。 『おーいッ和馬ッ!』 声をかけられた和馬は、声の主を探しながら振り返った。 そこには和馬の同級生で親友の田沼守と森山剛が、和馬の方へと駆けよってくるのが見えた。 『守と剛か』 『和馬、今日も道場にいっていいか?』 そう言う守。剛も同様に和馬の父の経営する古武術道場にいきたいという表情である。 (この2人は…) そう思う。この2人の魂胆は、道場で稽古したい、興味があるからではなく、道場に来ている人物に興味があるからだ。 『あぁ。いいけど』 と返答するしかない。それは断ってあとで嫌味をたらたら言われるのが嫌だったからだ。 『しかし今日は本当に暑いなぁ』 そう和馬はつぶやき再び空を見た。 透き通るほどの青空が広がるが、日差しは肌を刺すように痛い。 俺は角村和馬、戦国史好きの18才、両隣にいるのは右側が田沼守、左側にいるのは森山剛である。 この2人とは中学時代からの付き合いで、いろいろ相談したり、されたりの腐れ縁になっている。
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