雷鳴

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(…静かだ) そう思いつつ俺は、頭を振りながら目を開けた。 (さっきのは何だったんだ…) そう思い辺りを見渡したが、道場は何事もなかったようにそれまでと変わりない状態であった。 俺の周りでは美希や親父たちが倒れていた。 『おい美希、親父』 そうやって一人、一人に声を掛け起こした。 『何があったんだ…』 そう親父の吾朗が頭を振りながら言う。 『わからない…?』 俺は呆然とした表情で道場を見渡すしかなかった。 他の皆も呆然としている。 そんな中、いち早く窓辺へと守が駆け寄る。 そして…。 『おっおいッ和馬ッ!こっちに来て外を見てみろッ!』 『どうしたッ!』 守に呼ばれ慌てて俺は窓の側へと駆け寄り、他の皆も同様に窓の側へと駆け寄った。 そして俺たちの目に入って来たのは、それまでの道場の外の風景とは違う風景であった。 まるで道場ごと別の場所に運ばれたようであった。 『どこだここ…?』 そう剛が不安そうな顔で問うが、誰もその問いに答えられずにいる。 そんな中、和馬だけは外の風景が、なんとなくどこであるか分かりはじめてきていた。
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