記憶

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「どうしてもっと他の人に知ってもらわないのですか?」 「それは、ここも隠れ里だからですよ」 古びてはいるが、きれいに整えてある大きな建物をみながらの質問に答える先生。 「ここは江戸時代一六九〇年に完成しました」 「四〇〇年近い歴史があるんですね」 「そうだね。でも、他の教え子やここの住人によって改修や修繕されているから当時のままの保存とはいかないけれどね」 そういって先生は建物に歩いていく。 「さて、今回君にあってもらいたいのはこの中に住んでいる少女です」 「名前は?」 「かむろといいます。姿は十代でおさないですが、君よりも長く存在しているので博識ですよ」 長く存在している? 不老不死か何かですか。 「わかりやすく言えば幽霊。妖怪でもいいです」 「ああ、先生に近い存在ですか」 先生をみると石畳を越えて建物の傍にいる。
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