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春樹が次に気がついた時には、フィエリテが彼の心臓の上辺りに手を当てていた。
「能力を送ります。 一時的に息が苦しくなりますがすぐに治りますよ」
少しして春樹は突然膝から崩れ落ちる。
直後に息が苦しくなり、彼はうめき声を上げた。
「……ぅ……がぁ……っ」
思わず心臓の辺りを押さえるが何ら意味はない。
その後少しの間過呼吸のような状態になっていたが、すぐにその感覚は消え去った。
「では、今から送りますね」
「……え」
突然フィエリテの声がしたので彼は止めようとするが、足元にぽっかりと穴が開き落下し始めた。
「嘘だぁぁぁぁ!!」
春樹の視界に入るのは、段々と離れていく手を振るフィエリテと、可哀相に自分を見るウリエルの姿。
(――ほんの少ししかいなかったのに、昔からの知り合いみたいに話しちまったな)
考えてる間にも彼はどんどん落ちていく。
初めは凄まじい速さだったが途中から速度が落ち、同時に何故か彼の意識も遠退いていく。
そのまま、眠るように気を失った。
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