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次に目を開けた時、春樹は既に森の中にいた。
体を起こそうとしたが背中に痛みが走って彼は仕方なく再び寝転がる。
しばらくして痛みが消えた頃に今度はゆっくりと起き上がった春樹は気になって辺りを見回すが、誰もいない。
視界に入るのは鬱蒼としている森の中の様子ばかりなのでどうやら奥地らしい。
ふと何かを思い出して彼は口を開く。
「こういう時って、何かお」
「きゃぁぁぁぁぁあっ!」
突然自分の言葉を遮って聞こえてきた悲鳴に思わずビクッとしたが、別に気にする事もなくその声が聞こえた方を見る。
「フラグが立ったな。 予想通りだ」
呟いた後、彼はゆっくりと草の生えた地面から立ち上がって手で砂を払い落とすとそちらに走り出した。
ただ走っただけなのだが、身体能力が上がっているからかあちらにいた時とは比べものにならないほど速い。
(……転生したんだな、俺)
今更ながら実感しつつ、春樹は走る。
少しして彼がやっと声の辺りにたどり着いた時には、1人の少女が銀色の狼の群れに囲まれていた。
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