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「申し訳ないけど君には見覚えがない。 しかし危険人物でもなさそうだから新規発行用の書類を渡すよ」  そう言うと、春樹が見ているのには全く気づいていないのだろう。 彼の目の前の門番はずっと被っていた鎧の冑(かぶと)を外し、汗で白い肌に張り付いた髪を振り払った。 「っ!?」 「ん? 僕の顔に何かついてるかな?」 そこにいたのは美形の好青年であった。 一瞬春樹の心に殺意が芽生えかけたが、フィエリテに美形にしてもらった事を思い出し、どうにか抑えて口を開く。 「あ、いえ。 知り合いと瓜二つだったものですから……」 「そうなのかい? ――世の中には自分も入れて3人そっくりさんがいるって言うけど、案外本当なのかもな……」 彼のそんな呟きが耳に入り『この世界にもそういった類の話があるのか』と思いながら、春樹は見られていない時につい苦笑した。 少しばかり、嘘を吐いた罪悪感に苛まれながら。
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