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 門番は慌てた様子で頭をあげさせ、説明を始める。 「それを持っていれば病院で治療も受けられるし、ギルド登録もバーコードで一発だよ」 そう言って門番は微笑んだ。 なるほど、便利な通行証である。 「わざわざすみません、ありがとうございます」 「良いんだよ、仕事だからね」 その後彼等は小屋から出て、門まで再びしばらく歩く。 たどり着くと春樹はもう1人の門番に通行証を見せた。 「確認しました、どうぞ」 彼女の言葉と動きで徒歩用の小さい、しかししっかりとした木造の門がゆっくりと内側に開く。 彼は軽く会釈した後にそこを通り抜けた。 春樹が中で見たのは、中世ヨーロッパとさして変わらない生活風景だ。 車やバス等が走っていたり信号があったりと所々現代が混ざってはいるが、壁とは対照的に煉瓦作りの黒い家が建ち並び農民や商人らしき人々が落ち着きなく動いていた。 『異世界にいる』と言う気が春樹の中で少し薄れる。 能力で調べると、どれも動力は魔力だったのだが。
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