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 走るのに必死なのか、少年は全く周りを見ていない。 もちろんと言ってしまうと何処かおかしいがその道に横断歩道は無く、加えて若干凍っている。 次の瞬間には、彼の耳に予想通り車のブレーキ音が届いた。 周りの人達は慌てるが誰も助けようとしない。 否、出来ないのだ。 トラックはすぐそこまで迫っていて、少年を救おうとすれば自分も危ない為である。 (まずい!)  面倒臭がりな春樹にしては珍しくそう思った時、その体は既に動いていた。 歩道を飛び出して駆け足で少年の後を追う。 彼だって、伊達に陸上部の名を背負ってはいない。 その上小学生であろう彼と高校3年生である春樹の年齢差だ。 すぐに追いついて逆側の歩道に押した。 少年に続こうとしたが間に合わず、代わりに彼が車道に残る形になる。 その視界に最後に入ったのは、ブレーキ音はするのに中々止まらないトラックが自分に突っ込んで来る様子だった。
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