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「ちっ……火炎よ、風と共に渦を巻き、我が敵を焼き尽くし、塵と為せ『フレイムトルネード』!」
舌打ちした後にフィオーレが詠唱したのは、火と風の混合魔法の中級だった。
次の瞬間に春樹の目の前に炎の竜巻が現れる。
しかし彼は慌てず瞬時に魔法から距離を取り、鎌を消す。
即座に水属性の魔力を練り上げて膜状に広げるイメージをした。
「水よ、火炎を打ち消し、我を護れ『ウォーター・シールド』」
十分に練られた魔力は瞬く間に展開し、水の膜が春樹を包み込む。
それにぶつかった竜巻は、初めは拮抗していたが最終的に水と共に消えた。
直後フレイマから炎が消え、そのまま崩れ落ちそうになったフィオーレを彼は急いで背後に移動して受け止める。
「リリーさん、回復魔法を教えてください」
「っ!? は、はい……魔力を込めなければ魔法にはなりませんから、口頭でお教えします」
そう言いながら、リリーは思い出すような顔付きになる。
少々慌てているようなので、ど忘れしてしまったのだろう。
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