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 少しするとどうやら思い出したらしく、リリーはゆっくりと口を開く。 「魔力を込めながら繰り返してください。 彼の者を癒せ、ファーストエイド」 「彼の者を癒せ『ファーストエイド』」 初級の魔法なのだがフィオーレの怪我が大体治り、普通ならここまで回復しない為に教えた本人までもが驚いている。 少しして彼女はうめき声をあげながら起き上がった。 「――っ! ……何で?」 「マスター、春樹さんが回復させました」 「なるほど。 そりゃあ負けるさね、魔力量と魔法の質は比例するから」 そう言って彼女は納得するが、春樹はそうはいかない。 「本気じゃなかったですよね?」 「体調が悪いのを忘れてたあたしの落ち度だよ」 「やっぱり、手加減しといて良かった」 「してたかい?」 そう言って笑い合う2人を見て、リリーは目を見開く。 「ま、マスター? 春樹さんは、もっと強いんですか?」 「あぁ、こいつはまだまだ底が見えない」 そう言って彼女は薄く笑った。
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