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 春樹が慌ててそちらを向くと、そこには6対12枚の羽の生えた少女がいた。 現実の人間ならありえない色である白に近い銀髪に、大きく開かれた何もかもを見通すような茶色い瞳。 真っ白いワンピースは少し寒そうにも見えるが、この空間は風など吹いていないので問題は無いのだろう。 見た目は春樹より少し年下程度なのだが、羽の数からしてウリエルより上位である。 (めんどくせ) 春樹がふとそう思った途端、彼女は口を開く。 「人間に換算すればまだ14歳です。 それと、面倒臭がらないでくださいね?」 「……心を読まないでもらえるか」 「貴様! フィエリテ様に向かって、何という口の聞きか」 「止めて、ウリエル……すみません。 心は勝手に読めてしまうので、止めるのは無理なんです」  少女――フィエリテは先程より冷たい声でウリエルを呼び、その後春樹に謝罪した。
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