脱出

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 捕食者達はまるで品定めをするように、黙ってにじり寄る。スタートの合図を待つように、よだれを垂らし歯を鳴らした。灰色に染まった目は、寸分違わずレイ達を見据えている。 「僕の判断が遅かった。すまない」 「ああ、てめえのせいだ。甘ちゃんに付き合った俺がバカだった」  ディジーはタラップの階段に腰かけ、タバコを吹かす。 「何故、襲って来ないんですか?」  立ち止まり蠢く群れを見て、エミリーは震えながら聞いた。 「奴ら、警戒してやがるんだ」 「ディジーのボンベがまだあると思って、踏み出せないでいるんだ」
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